難治性腎疾患治療学講座
レドックス生物学の視点から腎臓病の進行機序を解明し、新しい診断薬・治療薬の開発に取り組んでいます。
ごあいさつ

教授
糟野 健司
難治性腎疾患治療学講座では急性腎障害から慢性腎臓病への進展機序や慢性腎臓病の進行機序をレドックス生物学の観点から解明し、レドックス生物学を応用した腎臓病に対する診断薬・治療薬の開発に取り組んでいます。腎臓病態内科学講座と連携し探究心を持つ臨床医の育成を目指します。お気軽にご連絡ください。
研究者情報(Pure)講座紹介
講座の目的
慢性腎臓病は世界で約7億人が罹患する国際的な健康課題ですが、病態には未解明の部分が多く、多くの患者さんが末期腎不全に至っています。本講座は、慢性腎臓病を末期腎不全に至らせないために、病態を解明し新しい治療法を確立することを目的にしています。
研究
急性腎障害(AKI)は従来、治れば元に戻ると考えられてきましたが、一部は慢性腎臓病へ移行します。私たちは、還元型チオレドキシン(TRX)が酸化ストレス下で細胞の恒常性を守る鍵であることに着目し、重症AKIの後に尿細管細胞内のTRXが枯渇し続けると、細胞周期が停止し組織修復不全を介して慢性腎臓病へ移行することを明らかにしてきました。尿中TRXが腎臓病のバイオマーカーとなることも見出しています。これらの成果を基盤に、次のテーマについて取り組んでいます。
- TRX誘導剤の最適化と、TRX補充療法による創薬
- 尿中TRXや腎組織TRXを用いた、酸化ストレス関連腎疾患のコンパニオン診断薬の開発
- TRX/TXNIP複合体(Redoxisome)をはじめとする細胞内コンパートメントのレドックス制御
教育
医学生には、「なぜ病気が起こるのか」を生理学・薬理学・免疫学に基づいて考える力を、腎臓と他臓器の連関や移植医療を題材に伝えます。大学院生・若手医師には、多角的な検証を経て論文発表に至るまでを指導し、成果を臨床へ還元できる臨床研究医を育成します。また献腎移植、生体腎移植に関して初診から術後の維持期管理まで一貫した診療を行う移植専門医を育成します。
診療
腎臓病態内科学講座・泌尿器科学講座と連携し、献腎移植、生体腎移植を含む難治性腎疾患の診療を行っています。当院では1990年の第1例目が行われ、これまでに60例以上の腎移植術(生体腎移植・献腎移植)の実績を有し、移植外来では100名を超えるドナーとレシピエントを管理しています。腎移植成績は、生体腎移植の10年生着率の全国平均84.6%のところ福井大学91.5%、献腎移植の全国平均72.1%のところ福井大学83.3%と、全国平均を上回っております。難治性腎疾患治療学講座の設立により、福井県における腎移植医療のさらなる発展と地域医療への貢献に努めてまいります。
沿革
2026年4月1日 開設
メンバー
- 教授糟野 健司
Pure
お知らせ
- 国際学会World Congress of Nephrology(Yokohama)で、腎臓病の病理・診断・研究に関する3演題をポスター発表しました。
- 第59回日本臨床腎移植学会で、慢性移植片不耐症に対する移植腎動脈塞栓術に関する症例を報告しました。
- NELL-1陽性膜性腎症の症例報告が Kidney Medicine 誌に掲載されました。
- 重症急性腎障害後の尿細管内チオレドキシンの長期枯渇が慢性腎臓病への移行に関わることを Biochem Biophys Res Commun 誌に報告しました。
- 国際学会Kidney Health in Aging and Aged Societies: JSN/ERA Symposium Collaboration with JSDT(Kyoto)で、腎臓病の病理・診断・研究に関する3演題をポスター発表しました。
お問い合わせ
- 連絡先
- 福井大学医学部 難治性腎疾患治療学講座 研究室
- kasuno@u-fukui.ac.jp